今年の正月に読んだ本、「木に学べ」。

著者は故・西岡常一氏。

法隆寺金堂の大修理や薬師寺金堂の復元などで知られ、「最後の宮大工棟梁」とまで言われた方です。

この本では、宮大工としての技術や心構え、修理や復元に懸ける凄まじいまでの執念を語り尽くしていますが、その仕事に対する姿勢や思いは、宮大工だけにおさまらず、人生全般の教えにも通じるところがあります。

西岡氏は語っています。

「器用、不器用というのがあるんです。初め器用な人はどんどん前へ進んでいくんですが、本当のものをつかまないうちに進んでしまうこともあるわけです。だけれども不器用な人は、とことんやらないと得心ができない。こんな人が大器晩成ですな。頭が切れたり、器用な人より、ちょっと鈍感で誠実な人のほうがよろしいですな。」

この言葉に私は、はっ、とさせられました。

別に私は器用な人でも頭が切れるわけでもないのですが、ちょっとやっただけで分かったつもりになっていることが実は結構たくさんあるんじゃないのかなと。

『本当のもの』をつかむためのヒントを私に与えてくれました。

有名な本なので、今さら、という感じもありますが、宮大工や木造建築、木の家が好きな人はもちろんのこと、ビジネス書として読んでも教えられることの多い本だと思います。