新人の頃の私は、ハンドカットこそログハウスだ!と思っていて、
マシンカットやポスト&ビームにはさほど興味が持てなかった。
丸太がふんだんに使われていないから、やっぱり物足りなさを感じてたのだろう。
ハンドカットは野性味にあふれ、ワイルドな感じがたまらなく良かった。
でも、少しずつプロジェクトに参加させてもらい
ポスト&ビームやマシンカットの加工や組立を経験するようになると、
徐々にマシンカットやポスト&ビームにも、魅力を感じるようになった。
そして自分が手がけた物件の完成を目の当たりにすると、
それがハンドでもマシンでもPBでも、これが一番!と思っていた(笑)。
実際の施工に携わることで、施工例や雑誌を見るだけでは感じられない、
それぞれに良いところを知ったからだ。
数年して、プロジェクトのリーダーを任されるようになると、
自分の家を造るような気持ちで取り組むようになった。
何回も穴のあくほど図面を見て、完成をイメージしながら仕事をした。
そうすると途中から図面を見なくても、建物の詳細が頭の中に入っているので、
人から聞かれてもすぐにどうすれば良いかを指示することができるようになった。
そんなことを繰り返しているうちに、
どのログスタイルで建てるのが良いのか?ということよりも、
「住まい」としてのログハウスはどうあるべきか?
ということを考えるようになっていった。
素朴な山小屋も好きだが住宅地に建つログハウスもいい。
ログハウスといえども「家」であり「住宅」である。
木が好きな人や自然を愛する人が、一日が終わって帰る場所を
居心地の良いログハウスに求めるのは必然であると思う。
ログハウスを造る仕事をするようになって初めて
「家」を造ることの意味について考えるようになったのだ。
この世界に入る前に抱いていたログハウスへの想いが、
よりいっそう自分の中で深まっていくのを感じていた。