私の前職はタイルメーカーの営業マン。

営業先は大型建築物件を扱う大手建築設計やゼネコン。
文化ホール、商業施設、ホテル、官公庁物件、病院etc.
車を走らせていると自分が納めた建物に出会うことは多い。

今と同じ建設業界ではあったが、その頃『住宅』に関わることはほとんどなかった。

私はタイルを売ることで『焼き物』の知識を身につけ、
そしてその『焼き物』であるタイルを建築材料に使うと、
半永久的にその質感を保つことができる、ということを知った。
だから、自分が納品したタイルの建物が、
ずっとそのままかたちとして残っていくことに
仕事としての満足感と達成感を感じていた。

かたちが残るものを造る、その感覚は今と同じかな。

タイルは自然の土からできている、というところも好きだった。

しかし私は、もっと自分を生かせる仕事を探していた。
自分が造ることをしたい、って思ってたのかもしれない。
結婚してからちょうど3年になる妻とも話し合い、
自分たちの人生をより充実したものにするため、
入社以来8年勤めた会社を辞めて、
ついに私はログハウスの世界に入った。

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最初はログビルダー見習いである。

でもやっぱり私は、外で体を動かすのが合っている。
雨や雪の日は、つらくもあったが、早く仕事を覚え一人前になりたい、と考えていた。

ログハウスのスペシャリスト、専門家になりたいと最初から思っていた。

だから、ログハウスの事は何でも知りたいと思ったし、
その知識を身につけ、作業を経験することが
自分のこれからの人生において、すごく大事なことになると思った。
作業もするけど、お客さんとも話ができるようになりたいと思ったし、
ログハウスの事を人に語れるようにならなければ、という思いが強かった。

だから、建築の知識も必要だと思い、通信講座で建築の勉強をしたり、
建築管理の資格を取るようにもした。
作業に必要だから移動式クレーンの資格も取った。

転職して、果たしてやっていけるだろうか? と不安に思うこともあったが、
この世界で生きていこう!がんばろう!と、
私は決意を新たにしていた。